図書館通信第59号を発行しました

掲載日
2021年4月2日

図書館通信第59号(2021年春号)

巻頭言

「本がつなぐ人と人」
豊島区副区長 高際 みゆき(たかぎわ みゆき)

 コロナ禍で、人と会うことが難しくなった。外出を控え、会議やイベントはオンライン。仲間と一緒の活動が減り、楽しみの外食も減った。「巣ごもり」の中、初めて体験する物事がある一方、いつでも約束できた友人と、スマホやパソコン越しの関係になるのは、やはり寂しい。
 人に会えない。旅ができない。わくわくするまちを歩き回れない。身体も心も縮こまる。でも、本を読むことができる。
 幼い頃、熱を出して学校を休んだ日を思い出す。布団にくるまり本を読み、心はあちこち旅をした。世界の果てを冒険し、知らない国の女の子とお喋りし、大事件に巻き込まれたり、火星に行ったり、泣いたり、笑ったり、叫びそうになったりし、母の足音で、こちらの世界に舞い戻る。
 不安なときこそ、本が運んでくれる、多様できらきら輝く文化や、魅力溢れる人々との「つながり」は宝だ。本には「その先もっと知りたいこと」につながる窓があり、そこから世界が広がっていく。そうして大好きになった本の魅力を誰かと共有できたときは、喜びが連鎖していくようだ。
 ここ数年、よく耳にする「SDGs」とは、2030年に「持続可能でよりよい世界」を目指す国際社会共通の目標。その達成に向けた優れた取組みを行う都市として、豊島区は昨年、「SDGs未来都市」に選定された。
 「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念を思うたび、感染症や自然災害等、次に何が起きるかわからない、いつまで続くかわからない不安な日々の中、人の心の一番の根っことなり、支えとなるのは、「つながり」だと確信する。
 「誰一人取り残さない」とは、誰もが主役で、誰もが活躍できること。人や文化とのつながりが、人の心を元気づけ、次の一歩を踏み出すエネルギーとなり、他の誰かのために動ける力を生み出す。
 つながりを強くするのは、自分とは違う、誰かのことを考える想像力。巣ごもりの今こそ、本を味方に想像力を鍛え、様々な価値観を発見し、いつでも大きく外に飛び立てるよう、心の羽を強くしたいと思う。

プロフィール

東京女子大学卒業後、サントリー株式会社入社。営業現場を経験後、ビールの宣伝企画を担当。平成7年東京都入庁。福祉保健局、生活文化局、首都大学東京、法テラス派遣等を経て、平成30年に政策企画局秘書事務担当部長。2年間、小池都知事の秘書を務める。令和2年4月より現職。

記憶のなかの人たち

第1回「「 二枚目」ふたり ~池部 良 と 児玉 清~」
NPO法人「としまの記憶」をつなぐ会副代表理事  小櫻 英夫(こざくら ひでお)

先輩に促され私個人の忘れ得ぬ「記憶のなかの人々」を紹介することになった。初回の二人には、いくつかの共通点が。
 「二枚目」と呼ばれる映画俳優、多くの著書を残した名文家。そして、期せずして共に豊島区の大学に在籍し、池袋・目白で過ごした青春時代。池部良には、私の新人ディレクターだった昭和40年代、担当する番組司会者の友人として赤坂の喫茶店で初めて出会い、幾度か言葉を交わした。長身で寡黙。「そよ風」のような現われ方だった。一方、映画では『雪国』の作家崩れ、加賀まりこが注目された『乾いた花』のヤクザ。1960年代に若者たちの心を揺さぶった『昭和残侠伝シリーズ』での高倉健と雪道を行くラストシーン。そこには、「そよ風」とは似ても似つかぬもうひとつの風が吹いていた。文筆家池部良の最初の著作は『そよ風ときにはつむじ風』。私の心に残る一冊は『オレとボク-戦地にて』。招集を受けて中国大陸を転戦、南方の島近くで撃沈された船から投げ出され海を泳ぐこと10時間、流れ着いたセレベス島での終戦。ここまでが「オレ(俺)」。戦地から映画に戻った戦後が「ボク(僕)」。そこに池部さんの沈思と陰鬱がある。
 一方、二枚目俳優児玉清は作品に恵まれず、苦闘の中でフリーとなりテレビに活路を見出そうと、様々な番組に出ていた時代に出会った。彼が担当していた生番組の最終回に呼ばれテレビの可能性について論じ合った。終了後の控室で語ってくれた終了の無念。エキストラ参加していた福岡ロケで、先輩スターから受けた「雑魚」の屈辱は、後の著作に詳しい。努力家児玉清はドラマを始め、クイズ、書評番組で新境地を拓くことになる。
 二人の最後の共通点は哀しい。2010年池部良、追うように2011年児玉清が逝った。

プロフィール

昭和17年(1942)大阪生れ福岡育ち
昭和40年(1965)TBS入社 ラジオ・テレビの制作担当
平成21年(2009)大正大学表現学部教授
プロ野球「西鉄ライオンズ(現西武)」を愛し続ける九州男の気質が抜けない。
大正大学の学生たちとNPO法人「としまの記憶」をつなぐ会の映像制作を続け
ている。

生涯の一冊

「一瞬の夏、そして東京の夏へ」
一般社団法人共同通信社スポーツ企画室室長 三木 寛史 (みき ひろふみ)

 就職を考え始めた大学4年の1984年、専攻の人文地理学をほとんど学ばなかったという現実を前にして「スポーツに携わる職業、それもその意義や価値を伝える仕事はどうだろう」という思いにとらわれました。後押ししてくれたのが沢木耕太郎さんの一連の著作で、なかでも「一瞬の夏」は大きな存在でした。
 大学で体育会のスキー競技部に入りました。インカレ3部の弱小でしたが、高校までいわゆる帰宅部の私にとって、体を動かす楽しさやつらさ、仲間と競い高め合う喜びなど、初めてスポーツを自分に取り込めたと思える日々を過ごしました。時間はたっぷりある一人暮らし。すでにニュージャーナリズムの旗手だった沢木さんの、特にスポーツ関係のノンフィクションをむさぼるように読み、自分がスポーツにのめりこむ意味を理解できるような感覚に襲われました。
 「一瞬の夏」は、かつて関わったボクサーが復帰することを聞いた沢木さんが最終的に韓国での試合をプロモートするまでを描いた「私ノンフィクション」の傑作です。次から次へと難題が持ち上がり、それぞれの思いは交錯します。過程を追体験するような同時性があり、一気読み必至です。バンデージの巻き方や使い方を例にとってみても、的確で緻密な表現が鮮やかです。何よりも沢木さんの熱量に圧倒されます。「いつか」というキーワードも泣かせます。
 東京五輪と東京パラリンピックの国内公式通信社でもある共同通信社には、採用でスポーツに特化した「運動記者」という職種があります。あえなく就職浪人して改めてメディアを見渡したとき、これが第1志望になりました。スポーツに関する事象を多くの人々に伝える職業が頭に浮かんだのは、沢木さんの著作を読んだからとも言えます。
 希望通りに入社し、ずっとスポーツ報道の道を歩んで30年以上がたちました。公正中立の立場から「私」を前面に押し出すような記事を、基本的には書かないものです。ただ、できるだけ取材対象との距離感を近づけようと心がけました。久しぶりに読み返した「一瞬の夏」で対象への濃密すぎる関係性を再認識し、自分への影響が大きかったなあと感じ入りました。

『一瞬の夏』の所蔵状況はこちら

プロフィール

1962年兵庫県生まれ。86年共同通信社入社。福岡支社、大阪支社の運動部を経て本社運動部へ。高校野球、大相撲、プロ野球を経験した後、スキー、水泳で五輪取材に従事。2004年アテネ五輪では支局長として2年間ギリシャ駐在。

図書館と私

「これから先の楽しみは」
山本裕美子(やまもとゆみこ)

 ミシンの修理を依頼したら、「私がいうのもなんですが、高機能になったミシンを使いこなすのは難しいです。スマホもそうですが・・・・・・」と。妙に納得する。折角のフルバージョンが活かせていないのである。
 「拡大写本講習会」を経てボランティア活動を続けて四半世紀になる。図書館利用の障害のため知りたい情報に辿り着かないもどかしさがあることを知ってはじめた読書支援の活字変換作業でのサポートである。手書きからのスタートであったが、徐々にデジタルの波が押し寄せて、印刷された文字をスキャナーで読み取り、パソコンで編集するという流れで、いつの間にか「IT」との縁が切れなくなってしまった。
 「ひかり文庫」は、豊島区立中央図書館に併設されている点字図書館で、視覚に障害のある方のための図書館であり、昭和45年(1970)に発足し昨年で50年になった。公立では大田区と都内では2か所しかない点字図書館である。蔵書は点字・音声・テキストがそれぞれのデータとして変換されて、サピエ図書館(※)(電子図書館)にアップされており、全国の登録されたデータにアクセスできる。コロナ禍のキーワード「非接触型」のサービスである。
 アナログ派は何といっても紙が大好き。そして「紙の本」が満たしてくれる欲求は計り知れないのも理解できる。欲張り根性でもちろんデジタルも便利。共存できるかたちを待ち望む昨今である。
 日々発表される数字にドキドキしながらも気になる情報は見逃したくない。それぞれの人にそれぞれの希望するかたちで利用できる読書環境を構築する図書館には使いこなすだけのキャパシティ(対応能力)がある。新しい暮らし方とスマホに負けない使い方を必ずや見つけ出せるはずである。

※サピエ図書館:視覚に障害がある方へ、点字・音声データなどで図書を含む情報を提供するサービス。利用には登録が必要。

プロフィール

豊島区図書館経営協議会委員
豊島区立中央図書館ひかり文庫拡大写本グループ代表
元公共図書館司書

この本カフェ

寄稿者はとしまコミュニティ大学の内、登録して学んでいる「マナビト生」です。マナビトゼミ担当・当中央図書館開催の書評講座講師の人類学者佐藤壮広氏の監修のもと、毎回テーマに合わせて文学、児童書、科学や評論などの分野のお薦め本を紹介しています。

23杯目「散歩したくなる本」
コロナ危機でリモートワークが増えると、運動不足になりがちです。春の陽気のなかで、ゆっくり歩きながら周りの景色に目を向ければ、心身ともにリフレッシュ。本の世界の散策も、あわせてどうぞ !

書名『荷風語録』 川本三郎[編] 岩波現代文庫 2000年

 日和下駄をはき蝙蝠傘をもって歩く偏屈老人、永井荷風。40年近く東京を歩き回った。
 人間を愛することはなかったが、市中の景況は愛してやまなかったそうだ。その彼の小説などの抄録と共に、川本氏の詳細な解説が明治から時代ごとに並べられた一冊。日記「断腸亭日乗」(一部)も収められている。生まれ育った山の手、次第に心惹かれた隅田川沿いの下町を綴る絵画的な文章には、洋行帰りのノスタルジーを感じる。彼の視点から現在の東京はどう映るか。
ともに東京を歩きたい。
【 辻 宏子( つじ ひろこ)】

書名『日本古代国家建設の舞台 平城宮』 渡辺晃宏著 新泉社 2020年

 古代の都は、藤原京−平城京−長岡京−平安京と、幾度にも渡る遷都の連続。河川や土地構造の改造までも含む壮大な都市計画を立案し、それに基づく土木と建築工事を実践する意志と統率力は、はるかに想像を超えるもの。平城宮跡の発掘調査を経て明らかになる、日本の古代国家の建設物語。だがこの世界遺産の全容解明までには、継続的な発掘調査が必要という。奈良へ出かけ、1300年前の都の姿を追体験したくなる本。
 【 谷津 行穗( たにつ ゆきお)】

書名『あおくんときいろちゃん』 レオ・レオーニ著/イラスト 藤田圭雄訳 至光社 1967年

 コロナ禍で、家族、なかでもお子さまと過ごす時間が増えた方も多いのではないでしょうか。レオ・レオーニ(1910~1999)はオランダ生まれのユダヤ人で、第二次世界大戦中にアメリカに亡命。1959年にお孫さんにお話する中から生まれたのがこの絵本。見える世界が変わる本です。ときどきひらいて、ぼんやりながめてください。今日はどのようなせかいがみえましたか。ほどよい時をあなたに。一家に一冊、常備本。
【 酒井 一夫( さかい かずお)】

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世界の人々が出会う場所×多様な文化が生まれる舞台TOSHIMA

人と人とが出会い生まれた「想像力・創造力」でまちを耕してきた豊島区。誰もが主役になれる「国際アート・カルチャー都市」の舞台で人々はどのように文化を生み出してきたのでしょうか。

第1回 「本を通して多文化共生のまちづくりを」
佐藤 壮広(さとう たけひろ)

 2018年の2月、北欧フィンランドの小学校で、日本文化を紹介するワークショップを行う機会があった。童謡「うみ」、「こぎつね」のメロディーを口ずさみ、浮かんでくるイメージを児童たちに尋ねてみた。「うみ」を聴いた40人のうち、2人が“オーシャン”と答えた。まあまあ伝わるものだなと思いながら、「こぎつね」を奏で始めると、小学生たちは両手を耳に立て「ラビット(うさぎ)の歌だ〜」と、にっこり笑った。童謡「こぎつね」は、ドイツの古い民謡「キツネがガチョウを盗んだ」のメロディーを拝借し歌詞をつけた、いわば輸入曲である。日本の文部省唱歌には、世界各地のメロディーがいくつか借用されている。フィンランドでも事情は同様のようで、きつねがうさぎに変わり、子供たちに親しまれている。日本の児童たちが「こぎつね」のメロディーを通して体験しているのは、じつは「耳による異文化体験」である。戦後生まれの子供たちが洋楽や洋風のメロディーに耳慣れているのは、このような事情も影響している。
 世界各地の文化を眺めてみると、その地の個別的な特徴とともに、ほかの地域にも共通する要素も持っている。このことに気が付くと、異文化理解、異文化交流がぐっと面白くなる。子供が世界じゅうを旅することは難しいが、世界各地の本を読み、音楽を聴き、映画やアニメを観るなどをして、異文化理解を深めることはできる。特に絵本や児童書には、その類の優れた作品も多い。『せかいのひとびと』は、そのひとつだ。肌の色、背格好、衣装、食べ物、住居、祭りなど、人間の習慣・文化がいかに多様かを、絵と言葉で表現している好著だ。最初の頁には、「“汝自身を知れ”とはよく言うけれど、こりゃうまくないね、“他の者達を知れ!”この方が効き目があるさ」という、古代ギリシャの詩人・メナンドロスの言葉が載っている。異文化を知ることの意義を的確に言い当てた、じつにいい言葉だ。 「他者を知ることで、あらためて自分自身のことが分かる」とは、よく言われること。しかし、言うは易し、行うは難し。例えば我々は、近くに住む外国人についてどれほどのことを理解しているだろうか。これは、グローバル社会の中で我々が自分たちの社会的役割をどれだけ自覚できているか、という問いでもある。
 豊島区内に住む外国人は現在、約2万7千人(住民基本台帳に基づく人口・統計データより)で、区の全人口に占める比率は10パーセントを超える。こうした現状をふまえ、国際文化都市を標榜する豊島区で、区内在住の外国人の方々と交流する機会を増やしていくことは、とても大切だ。それぞれの文化を紹介する本、音楽、映画などを持ち寄って語り合う機会や場所を定期的に持つことができれば、どんなに楽しいことか。本好き、音楽好き、文化交流好きの私の夢は、こうして膨らむばかり。たくさんの仲間を求む。

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プロフィール

書評家、人類学者(沖縄文化研究、表現文化論)。立教大学・大正大学非常勤講師。豊島区立中央図書館・オンライン書評講座「本はともだち」講師。

人が集まり 出会いが生まれる回遊都市 豊島区と乗り物

新たな出会いが生まれる場所と場所を結びつけるのが「乗り物」。古くから愛され変わらない場所と最先端の設備を備えた場所が交差する豊島区。新たな広がりとつながりを作り出す「豊島区の乗り物」はどのように変化していったのでしょうか。

第1回 「王子電気軌道とイケバス~豊島区内の路面電車の歴史~」
伊藤 暢直(いとう のぶただ)

 自動車が普及する前、人々の移動の手段は鉄道であった。日本における中遠距離の移動手段としての鉄道は、明治5 年(1872)に新橋-横浜間の開業に始まる。一方、都市部の近距離移動は路面電車が担うことになるが、東京では、明治15 年(1882)民営の東京馬車鉄道が開業し、明治37 年(1904)に電化され“路面電車”が誕生する。その後、明治44 年(1911)に東京市が買収して「東京市電」(のちの「都電」)となり、最盛期には総延長は約213 キロに及んだ。
 豊島区域に市電が乗り入れたのは大正元年(1912)で、その前年の明治44 年に、大塚駅から飛鳥山まで開業したのが王子電気軌道(「王電」)である。大正14 年(1925)には大塚-鬼子母神前間が開業し、昭和3年(1928)に鬼子母神前-面影橋間、翌年に早稲田まで開業した。この区間は、のちに都電32 系統となり、現在も都電荒川線として存続している。
 高度経済成長期を迎えると自動車の普及により、東京都内の道路という道路は慢性的な渋滞に陥っていた。その渋滞の元凶とされたのが都電である。そして、昭和34 年(1959)6 月に警視庁が、都電の軌道内に自動車の乗り入れを許可したことにより、都電の定時運行が困難になり、昭和42 年から47 年にかけて廃止されることとなる。しかし、荒川線だけは、営業区間のほとんどが専用軌道であるため道路の渋滞に影響がなく、路線バスへの転換が困難であるという理由から廃線を免れた。
 都電荒川線の線路敷きは、その前身である王子電気軌道の開業当時とほとんど変わっていない(但し、向原-東池袋4 丁目間および都電雑司ヶ谷-鬼子母神前間を除く)。ところが実は、王子電気軌道は明治39 年(1906)の免許申請段階の計画では、全線が併用軌道で営業する計画だった。豊島区内に関係する部分で言えば、飛鳥山と大塚駅は、折戸通り・お岩通りを通して結び、大塚駅からは、不忍通り方面に南下し、護国寺の南を迂回してグリーン大通りを北上し、雑司ヶ谷霊園の北側を通って池袋駅に至るルートが計画されていた。すなわち、東通りに線路を敷いて電車を通す構想だった。しかし、5年後の開業時には専用軌道を主とする計画に変更されたのである。
 現在、東通りにはイケバスが走っている。東通りは、江戸時代の村絵図などにも描かれており、古くから長崎村から護国寺へ抜ける重要な道であったに違いない。それは近代になっても変わることはなく、王子電気軌道の創業者たちの構想は、その需要に応えようとするものであった。しかし結果として王電は開業時に、大塚駅から鬼子母神を経由して早稲田までを専用軌道で結ぶという選択をした。
 東通りがイケバスルートになったことは、公共交通機関を通そうという計画が110 年余の時を経て実現したことを意味している。

プロフィール

豊島区立郷土資料館学芸員を経て、現在教育委員会庶務課文化財グループ学芸員。

新航路

「図書館基本計画、子ども読書活動推進計画を改定します」

 豊島区には、区立図書館の指針となる2つの計画、「豊島区立図書館基本計画」と「豊島区子ども読書活動推進計画」があります。図書館基本計画は図書館運営の基本方針、一方、子ども読書活動推進計画は、子どもが本と出会い、読書を通じて豊かな心を育むための具体的な行動計画です。当初、令和2年度に予定していた改定作業を3年度に延期し、新型コロナの影響で生じた様々な課題も含めて計画を見直すことにしました。
 これまで図書館は、「来館」と「対面」をサービスの要としていましたが、緊急事態宣言など外出を制限されると一気にサービス低下に陥るという課題が生じ、多くの方から、「こんな時こそ図書館が必要」という声をいただきました。
 SDGs未来都市に選ばれた自治体の公共図書館としても、誰一人とり残さないというSDGsの基本理念をふまえ、図書館運営を考える時代がやって来ました。今年の12月頃、計画素案の公表をめざしています。

問い合わせ先

豊島区立中央図書館
電話 03-3983-7861 ファクス 03-3983-9904